AI で絵を作って LINE スタンプにする、という副業の紹介をよく見かけます。そして同じくらい、審査に落ちたという話も見かけます。
質問サイトで目に付くのは、「著作権のあるキャラクターは一切使っていないのに、5.1 の知的財産権侵害でリジェクトされた」という形のものです。心当たりがないのに落ちる。理由の番号だけが返ってくる。ここで止まってしまう人が多いように見えました。
そこで、LINE Creators Market が公開している審査ガイドラインを開いて、AI に関係しそうな箇所を探しました。確認は2026年9月2日時点です。
※ 本記事は公開されている記載を整理したものです。個別のスタンプが審査を通るかどうかを判定するものではありません。また、筆者は実際にスタンプを申請したことはなく、以下はすべて公開資料を読んだ結果です。
どこに何が書かれているのか
審査の基準は、LINE Creators Market の「審査ガイドライン」にありました。1 ページの中に、スタンプ・絵文字・着せかえの三本立てで並んでいます。リジェクト理由の番号は、このページの項目番号と対応しているようです。
スタンプの項目は、次の五つのグループに分かれていました。
| 番号 | グループ | 扱っている範囲 |
|---|---|---|
| 1 | 画像 | フォーマット・視認性・複製など |
| 2 | テキスト | タイトル・説明文・クリエイター名など |
| 3 | モラル | 犯罪・暴力・性的表現・政治・宗教など |
| 4 | ビジネス・広告 | 宣伝目的・寄付の勧誘など |
| 5 | 権利・法律 | 知的財産権・肖像権・許諾の証明など |
リジェクトの理由としてよく挙がる 5.1 は、この五番目のグループの先頭にあたります。
AI という言葉は見つけられなかった
まず探したのは、AI について直接書かれた項目です。KDP のように「AI 生成」「AI アシスト」といった区分が置かれているのかどうか。
結果として、スタンプ・絵文字・着せかえの三本を通して、AI・生成・機械学習にあたる言葉は見つけられませんでした。アニメーションスタンプの制作ガイドラインも見ましたが、こちらは画像サイズやフレーム数の規格が中心で、やはり AI の記載はありませんでした。
つまり、「AI で作ったかどうか」を直接扱う項目は、確認できた範囲には置かれていないと読めます。同じ AI でも、申告欄が用意されていた KDP とは形が違いました。
KDP 側の記載は別の記事に整理しています。
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5.1 は二つに分かれていた
次に、リジェクト理由として返ってくる 5.1 の条文そのものを読みました。読んでみると、ひとつの文の中に別々の話が二つ入っていることに気付きます。
| 位置 | 書かれていること | 問われている対象 |
|---|---|---|
| 前段 | 当社または第三者の商標権・著作権・特許権・意匠権などを侵害しているもの | スタンプに写り込んだ中身 |
| 後段 | 使用されている素材がサードパーティの利用条件に違反しているもの | 素材をどこから持ってきたか |
前段は、ロゴやキャラクターが画像に入っている場合の話として理解しやすい部分です。問題は後段のほうで、こちらは「何が写っているか」ではなく「その素材を使ってよい条件だったか」を見ています。
「キャラクターは使っていないのに 5.1 で落ちた」という状況が、前段だけを見ていると説明できないのは、この二つが同じ番号に同居しているためだと読めます。ただし、実際にどちらを理由としてリジェクトされたのかは、番号だけでは分かりません。ガイドラインにも、番号の内訳を通知するという記載は見つけられませんでした。
後段が指している先
後段でいう「サードパーティの利用条件」が具体的にどれを指すのかは、審査ガイドラインの中には書かれていませんでした。素材の出どころごとに条件が違う以上、その内容は LINE 側ではなく素材を提供した側の文書にある、という形になっていると読めます。
AI で生成した画像を使う場合、素材を提供した側にあたるのは生成ツールの運営元です。ツールごとに商用利用の条件が異なり、無料プランでは条件が変わるものもあります。そちらは別途調べて整理しました。
なお、審査ガイドラインの前書きには、写真を素材に使っている場合は別途権利確認書類を求めることがあるとも書かれていました。素材の出どころを確認する運用そのものは、AI に限った話ではないようです。
AI と関係なく並んでいた項目
ここまでは 5 番のグループを見てきましたが、1 番の画像グループにも、作り方によっては触れそうな項目が並んでいました。AI かどうかとは無関係に適用される部分です。
| 番号 | 書かれていた内容 |
|---|---|
| 1.2 | 会話、コミュニケーションに適していないもの |
| 1.3 | 視認性が悪いもの(例:横長な画像、8頭身キャラクターの全身など) |
| 1.4 | スタンプ全体のバランスを著しく欠いているもの |
| 1.5 | ロゴのみのもの |
| 1.6 | 単純なテキストのみの画像 |
| 1.10 | 既に販売または審査されているスタンプの複製 |
「他の人と似た絵になってしまうのではないか」という不安を書いている人もいました。似ることそのものを扱った項目は見つけられませんでしたが、複製にあたるかどうかは 1.10 の側で見られている、と読めます。どこからが複製にあたるのかの線引きは、ここには書かれていませんでした。
申告する欄は見つけられなかった
KDP には、AI を使ったかどうかを登録時に申告する欄がありました。同じものが LINE 側にもあるのかを探しましたが、公開されているガイドラインの範囲では、申告に関する記載を見つけられませんでした。
ただし、これは登録画面そのものを確認した結果ではありません。クリエイター登録をしないと入れない画面があるため、そちらに項目があるかどうかまでは今回分かっていません。分かったのは、公開文書の側には置かれていない、というところまでです。
読んだ範囲を並べておく
| 見た文書 | 見た内容 | AI の記載 |
|---|---|---|
| 審査ガイドライン(スタンプ) | 1〜5 の全項目 | 見つけられず |
| 審査ガイドライン(絵文字) | 1〜5 の全項目 | 見つけられず |
| 審査ガイドライン(着せかえ) | 1〜5 の全項目 | 見つけられず |
| 制作ガイドライン(アニメーションスタンプ) | 画像規格・テキスト文字数 | 見つけられず |
| 登録画面 | 未確認 | 不明 |
まとめ
読んで分かったのは、審査ガイドラインに AI を名指しした項目はなかったこと。リジェクト理由に挙がる 5.1 が、画像の中身を見る前段と、素材の出どころを見る後段の二つを含んでいたこと。そして後段の判断材料が、LINE 側の文書ではなく素材提供元の条件に置かれていたことでした。
分からないまま残ったのは、リジェクト通知の番号から前段と後段のどちらだったかを知る方法と、登録画面に申告項目があるかどうかです。どちらも今回の範囲では確認できませんでした。
自分のスタンプが通るかどうかは、ガイドラインを読んでも決まりません。ただ、心当たりがないのに 5.1 が返ってきたとき、次にどこを見ればいいのかは、上の表のどこかにあるはずです。そこまでは今回で分かりました。
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