AI で作った動画を TikTok に出して、収益につなげたい。そう考える人は増えているようで、質問サイトにも同じ種類の相談が繰り返し出てきます。
「AI 動画でフォロワーは増えたが、そこからどう収益化するのか分からない」「Sora で作った映像を TikTok に載せて収益を得てもいいのか」「非オリジナルと判定されて報酬の対象外になった」。回答はそれぞれの経験談が中心で、公式のページを示しているものはあまり見当たりませんでした。
そこで、TikTok の公式サポートとニュースルームを開いて、収益化プログラムの条件と AI に関する記載を探しました。確認は2026年10月13日時点です。
※ 本記事は公開されている記載を整理したものです。個別のアカウントや動画が報酬の対象になるかどうかを判定するものではありません。また、筆者は TikTok で収益化を行っておらず、以下はすべて公開資料を読んだ結果です。
まず、どこに書かれているのか
TikTok で動画の再生に応じて報酬が出る仕組みは、「Creator Rewards Program」という名前でした。2024年3月に、それまでのベータ版を引き継ぐ形で日本でも始まったと、TikTok のニュースルームが発表しています。
今回読んだのは次の三つです。
| 文書 | 書かれている内容 |
|---|---|
| TikTok サポート「Creator Rewards Program」 | 参加条件、報酬が出る動画の条件、オリジナルの考え方、不承認のときの手順 |
| TikTok ニュースルーム(2024年3月) | プログラムの開始と、報酬の計算で重視する指標 |
| TikTok「AI 生成コンテンツ」のページ | AI 生成ラベルの付け方と、自動で付く場合 |
参加条件は 9 項目でした
サポートのページには、参加して報酬を受け取るための条件が並んでいました。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 居住地 | プログラムを提供している国に住んでいる |
| アカウントの状態 | 規約違反を繰り返していない、不正行為に関わっていない |
| アカウントの種類 | 個人アカウント(ビジネスアカウントと政治・政府機関は対象外) |
| 登録情報 | 実名や生年月日などが本物である |
| 年齢 | 18 歳以上(韓国は 19 歳以上) |
| フォロワー | 1 万人以上 |
| 再生回数 | 直近 30 日で 10 万回以上 |
| 投稿内容 | 報酬の対象になるオリジナルのコンテンツを投稿している |
| 動画の長さ | 1 分以上の動画を投稿している |
この一覧で確認できた範囲には、「AI で作った動画は対象外」という条件はありませんでした。関係してくるのは、8 番目の「オリジナルのコンテンツ」です。
なお、フォロワー 1 万人と 30 日 10 万回は、参加の申し込みをするための入口の条件です。満たしたあとに投稿した動画がすべて報酬になるわけではありませんでした。
報酬が出るのは、参加したあとに投稿した動画だけ
報酬の対象になる動画にも条件がありました。自分で撮影・デザイン・制作したオリジナルで質の高い動画であること、そしてプログラムに参加したあとにアップロードした動画であることです。参加前に投稿してよく見られた動画は、あとから報酬の対象にはなりません。
報酬が数えられ始めるのは、おすすめフィードでの有効な視聴が 1,000 回に達してからです。ここでいう有効な視聴からは、5 秒未満の視聴、広告で増やした視聴、不正な視聴などが除かれると説明されていました。同じ人の視聴は 1 回として数えます。
金額の決まり方については、ニュースルームの発表で動画のオリジナリティ、再生時間、視聴者のエンゲージメント、検索価値の 4 つを重視すると書かれていました。過度に投稿数の多いアカウントを優遇しない、という一文もあります。1 再生あたりいくら、という固定の単価は示されていませんでした。
「オリジナルではない」とされる例
では、何がオリジナルではないとされるのか。サポートのページには、オリジナルではないコンテンツの例が 4 つ挙がっていました。
| オリジナルではない例 | AI 動画で起こりやすい形 |
|---|---|
| 他人のコンテンツを少しだけ変えたもの(速度の変更、フィルター、固定の文字、ステッカー) | 他人の AI 動画を拾って加工したもの |
| 他人の動画や画像を、新しい考えを加えずにまとめたもの | 話題の AI 動画を集めたまとめ |
| ループ動画、1 枚または複数枚の写真、文字を重ねただけのもの | AI 画像を並べて字幕を付けたスライド |
| 口パクや、著作権のある音楽が 1 分以上流れるもの | 既存の曲をそのまま流す動画 |
右の列は公式の記載ではなく、左の例に当てはめるとこうなる、という整理です。目に付いたのは 3 つ目でした。AI で作った画像を並べて字幕と合成音声を乗せる形は、「写真と文字だけ」に近くなります。止まるとすれば、AI を使ったからではなく、この形のほうが理由になりそうです。
また、この 4 つは「これらに限らない」という前置き付きで並んでいました。例に当てはまらなければ大丈夫、という一覧ではありません。オリジナルの定義としては、自分で設計・撮影・制作し、自分の専門性や才能、創造性を示すもの、と書かれていました。
AI という言葉は、別のページにありました
AI について書かれていたのは、収益化のページではなく「AI 生成コンテンツ」のページでした。リアルな画像・音声・動画を含む AI 生成コンテンツには、ラベルを付けることが求められています。投稿画面の設定からクリエイター自身が付けられます。
このページには、TikTok が自動でラベルを付ける場合があるとも書かれていました。すべて AI で作られたものや、相当な部分を AI で編集したものが対象で、TikTok の AI エフェクトを使った場合や、特定のサービスで作った動画を上げた場合などです。
一方で、ラベルを付けた動画が報酬の対象から外れるのかどうかは、今回読んだページのどこにも書かれていませんでした。ラベルは収益化の条件としてではなく、見る人が誤解しないための仕組みとして説明されています。ラベルを付けても、偽の情報や有名人を不正に使った内容はガイドライン違反になる、という注意も並んでいました。
AI で作った素材そのものを商用で使ってよいかは、TikTok ではなく生成ツールの規約で決まります。音声については別の記事で規約を読んでいます。
YouTube と比べると
同じ疑問は YouTube でもよく出ます。YouTube の収益化ポリシーも以前に読みましたが、AI という語は禁止事項としてではなく、可の例と不可の例の両方に出てきました。作り方で線を引くという点では、TikTok の「オリジナル」の考え方と近いと感じました。
違うのは入口の数字です。YouTube は 2023年の発表で、登録者 500 人から使える段階と、広告収益の分配を受けられる 1,000 人からの段階に分かれました。500 人の段階では広告収益は分配されません。TikTok の再生報酬は、フォロワー 1 万人からです。
外されたときの手順
参加を申し込んで認められなかった場合の手順も書かれていました。条件を満たしていると考えるなら 30 日以内に異議を申し立てられ、異議申し立ての期間が終わってから 30 日後に申し込み直せます。参加後も、投稿した内容をもとに続けて参加できるかを確認する、と書かれていました。
質問サイトでは、「非オリジナル」の判定が何度も続いて参加資格を失った、という相談も見かけました。判定の細かな基準は、ページには書かれていません。どの動画が、どの例に近いと見られたのかを、上の 4 つの例と照らして見直すのが、公開情報でできる範囲だと思います。
読んだ範囲を並べておく
| 見た文書 | 見た内容 | AI の記載 |
|---|---|---|
| サポート「Creator Rewards Program」 | 参加条件・報酬の条件・オリジナルの例・異議申し立て | 確認できた範囲ではなし |
| ニュースルーム(2024年3月) | 開始の発表・報酬で重視する 4 指標 | なし |
| 「AI 生成コンテンツ」のページ | ラベルの付け方・自動ラベル・禁止される例 | あり(ラベルの義務) |
| Creator Rewards Program の利用条件(国別) | 未確認 | 不明 |
| 各生成ツールの利用規約 | 音声は別記事で確認 | ツールごとに異なる |
条件の数字は変わることがある、とニュースルームの発表にも書かれていました。申し込む前には、アプリ内の案内とサポートのページを確認してください。
まとめ
読んで分かったのは、Creator Rewards Program の参加条件に「AI で作った動画は対象外」という項目は見当たらなかったこと。報酬が出るかどうかはオリジナルかどうかで分かれ、その例として写真と文字だけの動画が挙がっていたこと。そして AI については、収益化ではなくラベルのページで、見る人への開示として書かれていたことでした。
分からないまま残ったのは、AI 生成ラベルが報酬に影響するのかどうかと、どこからがオリジナルと認められるのかの線です。どちらも、今回読んだページには書かれていませんでした。
AI で作ったこと自体で道が閉じているわけではありません。止まるとすれば作り方が理由になる、というところまでは公式のページから読み取れました。



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