Kindle 出版の画面には、AI で文章を作ったかどうかを選ぶ場所があります。ここで「はい」を選ぶと何が起きるのか、そもそも自分の使い方がどちらに当たるのか。調べ始めた出発点はここでした。
検索して出てくるのは「申告しないと危ない」という話と「アシストなら不要」という話です。どちらも結論だけが先にあり、どの文書のどこにそう書かれているのかまでは、なかなか出てきません。
そこで、Amazon が公開している KDP のコンテンツガイドラインを実際に開いて、AI に関する項目を読みました。調査は2026年9月2日時点です。
※ 本記事は公開されている Amazon の記載を整理したものです。個別の出版物が規約に適合するかどうかを判定するものではありません。
まず、どこに書かれているのか
AI についての記載は、KDP ヘルプの「コンテンツ ガイドライン」の中にありました。ヘルプの分類でいうと「法的情報およびコンテンツ ガイドライン」の下、「プログラム ポリシー」の中の一項目です。
同じページの中に、違法・権利侵害のコンテンツ、不快なコンテンツ、パブリックドメイン、といった項目が並んでいて、そのひとつとして「人工知能 (AI) コンテンツ (テキスト、画像、または翻訳)」という見出しが立っていました。
つまり AI の扱いは、出版手順の説明ではなくポリシー側に置かれている、と読めます。
書かれていた区分は二つだった
その項目には、「AI 生成」と「AI アシスト」という二つの言葉が置かれていました。申告が要るのは前者で、後者は開示不要と書かれています。
| 区分 | ガイドラインの記載 | 申告 |
|---|---|---|
| AI 生成 | AI ベースのツールによって作成されるテキスト、画像、または翻訳 | 必要 |
| AI アシスト | 自分で作ったものを AI で編集・改良・エラーチェックした場合、AI から引き出したアイデアをもとに最終的に自分で作った場合 | 不要 |
分かれ目は「実際のコンテンツを誰が作ったか」に置かれていると読めます。ツールを使ったかどうかではなく、出てきた文章や画像そのものが AI の出力かどうか、という線の引き方でした。
書き直した場合はどう読めるか
ここがいちばん気になっていた部分です。AI に下書きを出させて、そのあと自分でほとんど書き直した場合はどちらなのか。
ガイドラインには、AI ベースのツールを使って実際のコンテンツを作成した場合は後で大幅な編集を行ったとしても「AI 生成」と見なされる、と書かれていました。編集の量で区分が移る、という書き方ではありません。
一方で「AI アシスト」の側には、AI からアイデアを引き出し、最終的には自分でテキストや画像を作成した場合、と書かれています。出力を持ち込んだか、着想だけ借りて自分で書いたか、という差に読めます。
ただし、実際の作業がどちらに当たるかを外から見分ける方法についての記載は、このページにはありませんでした。判断は出版する側に置かれている、という形になっています。
表紙と翻訳にも触れられていた
対象は本文の文章だけではありませんでした。見出し自体が「テキスト、画像、または翻訳」となっていて、AI 生成画像には表紙や本文の画像、アートワークが含まれると明記されています。
本文は自分で書き、表紙だけ画像生成 AI で作った、という組み合わせもここに入ってくると読めます。翻訳も同じ並びに置かれていました。
また、申告のタイミングとして新しい本を出版する場合だけでなく、既存の本を編集して再出版する場合も挙げられていました。
申告した情報の使い道は、記載を見つけられなかった
申告した内容が商品ページに表示されるのか、審査の材料になるのか。この点についての記載は、コンテンツガイドラインの中には見つけられませんでした。
書かれていたのは「お知らせいただく必要があります」までで、その先の扱いには触れられていません。ここは分からないまま残った部分です。
同じページには、ガイドラインを守らせるために機械学習・自動化・調査担当のチームを組み合わせている、という記述と、販売前に本について追加情報を求める場合があるという記述があります。申告そのものの使い道とは別の話ですが、審査の枠組みについてはこの二文が手がかりになりました。
申告とは別に置かれていた条件
AI の項目は、申告すれば通る、という書き方にはなっていませんでした。
項目の最後に、すべての AI 生成コンテンツおよび AI アシストコンテンツはコンテンツガイドラインに準拠し、適用されるすべての知的所有権を遵守する必要があると書かれています。申告は申告、内容の条件は別、という並びに読めます。
同じページの他の項目も、そのまま AI で作った本にかかってきます。
- 著作権・商標・プライバシーなどの権利を侵害していないこと
- 読者の誤解を招く記述や、内容を正確に表していない記述を置かないこと
- タイトル・表紙画像・商品説明もガイドラインの適用対象であること
- 日本では、著作権管理事業者が管理している曲の楽譜・歌詞を含む本は出版できないこと
読者の読書体験を損なう本、という項目が独立して立っている点は、量を出す作り方とは相性が良くないように読めました。ただし、何冊までといった数の基準はこのページには書かれていません。
書かれていた項目を並べておく
自分の本を照らすときに見る場所として、読んだ範囲を並べておきます。
| 見る場所 | 書かれていたこと |
|---|---|
| 本文の文章 | AI の出力を持ち込んだなら、書き直しても「AI 生成」と見なされる |
| 表紙・挿絵 | AI 生成画像に含まれると明記 |
| 翻訳 | テキスト・画像と同じ並びに置かれている |
| 再出版 | 既存の本を編集して出し直す場合も対象 |
| アイデアだけ AI | 最終的に自分で作ったなら AI アシストで、開示不要 |
| 申告の効果 | 内容面の条件を免除するとは書かれていない |
自分の作り方がどちらの区分に入るかは、上の表の左側を一つずつ当てていく形になります。ここから先は、本ごとに違います。
まとめ
読んで分かったのは、区分の基準が編集の量ではなく、出力を持ち込んだかどうかに置かれていたこと。対象が文章だけでなく表紙・挿絵・翻訳にも及んでいたこと。そして再出版も申告のタイミングに含まれていたことでした。
分からないまま残ったのは、申告した情報がその後どう扱われるかです。商品ページでの表示についても、審査での使われ方についても、このページには記載を見つけられませんでした。
迷ったときにどちらを選ぶかは、ガイドラインが決めてくれる部分ではありません。ただ、何を見て迷っているのかは、上の表の行のどれかに収まるはずです。そこまでは今回で分かりました。
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※ 本記事は2026年9月2日時点の Amazon KDP「コンテンツ ガイドライン」の記載をもとに整理したものです。ガイドラインの内容および出版画面の項目は変更されます。出版の前に、KDP ヘルプ「コンテンツ ガイドライン」の最新の記載を必ずご確認ください。個別の本が規約に適合するかどうかの判断は、記事の側では行っていません。




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