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AI で作った同人誌は、即売会で頒布できるのか コミティアとコミケの規定を読んでみた(2026年11月時点)

机の上に積まれた本 AI・生成AI

このブログでは以前、AI で描いたイラストを pixiv に投稿できるのか、AI で書いた小説をなろうやカクヨムに投稿できるのかを、それぞれのルールから読みました。今回は、ネットではなく会場で手渡しする同人誌即売会の場合です。

AI で作った同人誌やグッズは、即売会で頒布できるのでしょうか。今回は、オリジナル作品の即売会として知られるコミティアと、国内最大の同人誌即売会であるコミックマーケット(コミケ)の公式資料を開いて、生成 AI について何が書かれているのかを確かめました。確認は2026年11月2日時点です。

※ 本記事は各即売会が公開している資料を整理したものです。個別の作品が頒布できるかどうかを判断するものではありません。規定は回ごとに変わることがあるため、申し込みの前には必ず最新の資料を確認してください。

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先に全体を並べると

即売会生成 AI についての規定読んだ資料
コミティア生成 AI の出力結果を主体とした作品の販売・配布・展示は不可。補助としての利用か、適切な範囲での引用まで。「補助に当たらない例」も明記(COMITIA156 から)コミティア公式ブログ・FAQ
コミックマーケットサークル参加申込書セットには生成 AI に特化した条文は見当たらなかった。頒布物はオリジナルのものに限る、著しく知的財産権を侵害するものは禁止、という一般の規定コミックマーケット 109 サークル参加申込書セット
各即売会の公式資料をもとに作成(2026年11月2日確認)

同じ同人誌即売会でも、生成 AI について明文で線を引いている会と、一般の規定の中で扱っている会がありました。順に見ていきます。

コミティア:2023 年から「AI 主体の作品は不可」

コミティアは、2023 年 12 月開催の COMITIA146 から、生成 AI についての規定を設けていました。公式ブログによると、内容は「生成AIの出力結果そのままを主体とした作品の頒布は不可」で、AI は作品制作の補助となる範囲で使うように、というものです。

このとき、コミティアは理由も書いていました。AI については社会的な議論が進んでいる最中だと認識しつつも、生成 AI の出力結果そのまま、あるいはそれに近いものを、コミティアが定める「自主制作」物に含めることは難しいと判断した、という説明です。

2026 年 6 月の COMITIA156 から、線引きがはっきりした

その規定が、2026 年 6 月開催の COMITIA156 から改訂されました。サークル参加の申し込みは 2026 年 1 月 22 日から始まっており、その回から次のルールが適用されています。

  • 生成 AI の出力結果を主体とした作品の販売・配布・展示は不可
  • 生成 AI は作品制作の補助となる範囲で利用するか、適切な範囲で引用するのみ
  • 生成 AI の利用規約を守っていないもの、明確な法令違反と判断できるものなどは、「補助」かどうかに関わらず不可とすることがある

改訂で大きく変わったのは、「補助」に当たらない例が具体的に書かれたことです。公式ブログには、次の 3 つが挙げられていました。

補助利用に該当しない例意味するところ
作者自身のラフやネームをもとに、生成 AI によって清書されたマンガやイラスト下書きが自分のものでも、仕上げを AI がしたものは「主体」とみなされる
AI 生成物を表紙や挿絵に用いた絵本や文芸本文を自分で書いていても、表紙や挿絵が AI なら対象になる
AI 生成物を使用したグッズ本だけでなく、グッズも対象
コミティア公式ブログ「【COMITIA156より】生成AI利用に関するルール改訂について」より(2026年11月2日確認)

2 つ目の「表紙や挿絵」は、とくに注目されました。小説や絵本を自分で書き、表紙だけを AI で作るという使い方は珍しくありません。それも「補助」には当たらないと明記されたことになります。

改訂の経緯について、コミティアは、2023 年当時に期待していた社会的な議論の成熟や法的なルールの策定にはまだ時間がかかると見ている一方で、生成 AI の利用に関する対応が増え、実行委員会がこれまで行ってきた個別の対応の負荷が許容範囲を超えつつあると説明していました。

コミケ:申込書セットに AI 専用の条文は見当たらなかった

一方、コミックマーケットはどうでしょうか。2026 年 12 月 29 日から 31 日に開かれるコミックマーケット 109 の「サークル参加申込書セット」(PDF)を、マニュアル部分まで通して読みました。

その結果、生成 AI に特化した条文は見当たりませんでした。書かれていたのは、次のような一般の規定です。

項目申込書セットに書かれていたこと
頒布物コミックマーケットはアマチュアのための展示即売会で、頒布物もオリジナルのものに限る
よくある質問「自分で作ったもの」であれば、基本的に何でも頒布できる。ただし頒布禁止物は頒布できない
頒布禁止物法令に触れる物、著しく知的財産権(著作権・商標権など)を侵害する物など
申し込み頒布物の概要や傾向を、当て字や伏せ字を使わずなるべく詳しく記入する
「コミックマーケット109サークル参加申込書セット」より(2026年11月2日確認)

つまり、コミケでは、生成 AI を使った頒布物であっても、まずは「オリジナルのもの」「自分で作ったもの」といえるか、知的財産権を著しく侵害していないか、という一般の規定の中で判断されることになると読めます。ただし、申込書セットのほかに「コミケットアピール」など当選後に配られる資料もあり、そこに追加の案内が出る可能性はあります。

申込書セットに収められた「コミケットマニュアル」には、コミケの考え方も書かれていました。「コミックマーケットの理念」では、すべての表現者を受け入れ、法令と最小限にとどめた運営ルールに違反しない限り、一人でも多くの参加者を受け入れることを目標とする、としています。「コミックマーケットの考え方」でも、表現に限らず自由な場であるために、禁止事項など一律のルールは最小限に留めたいと書かれていました。

そのかわり、参加者には事前にカタログや資料を熟読し、ルールを理解したうえで、マナーやモラルを考えて行動することが求められています。また、サークルはすべての新刊を見本誌として 1 部ずつ提出することになっており、頒布物の内容確認のために、当日スタッフから販売停止カードが出されることもあると書かれていました。生成 AI についての専用の条文がないことと、こうした考え方がどう関係しているのかまでは、資料には書かれていません。

ネットで AI イラストを公開するときのルールは、pixiv のガイドラインを読んだ記事にまとめています。

調べても分からなかったこと

疑問今回読んだ範囲での状態
コミティアの「主体」と「補助」の境目は、どこにあるか補助に当たらない例は示されているが、割合などの数値の基準はない
コミケで、AI で作った同人誌は「自分で作ったもの」に当たるか申込書セットには AI についての記載がなく、判断できない
コミケの当選後の資料(コミケットアピール)に AI の記載はあるか当選サークル向けの資料のため、今回は確認できていない
規定に違反した場合、当日どう扱われるかコミケでは頒布物の確認のため販売停止カードが出されることがあると書かれているが、AI に限った扱いは書かれていない
公式資料で確認できなかったこと(2026年11月2日時点)

このあたりは、参加する即売会の最新の資料を読み、分からない点は主催者に問い合わせるのが確実です。

AI で書いた小説を、なろうやカクヨムに投稿するときのルールは、こちらの記事で整理しています。

まとめ

読んで分かったのは、コミティアは生成 AI の出力結果を主体とした作品の販売・配布・展示を認めていないこと。2026 年 6 月の COMITIA156 からは、AI による清書、AI の表紙や挿絵、AI 生成物を使ったグッズも「補助」には当たらないと明記されていました。

コミックマーケット 109 のサークル参加申込書セットには、生成 AI に特化した条文は見当たらず、「頒布物はオリジナルのものに限る」「著しく知的財産権を侵害する物は頒布禁止」という一般の規定がありました。同じ同人誌即売会でも、AI についての書き方は会によって違う、というのが今回の資料から言えることでした。

※ 本記事の内容は2026年11月2日時点で確認した公開情報です。各即売会の規定は回ごとに変わることがあるため、申し込みの前に最新の資料を確認してください。

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