AI で作ったイラストを、ファンからの支援や有料プランで収益にしたい。そう考える人は多いようで、質問サイトには同じ種類の相談が何年も続けて出てきます。
「NovelAI などで作成した AI イラストを、FANBOX やファンティアで売っている人がいるが、問題にならないのか」「pixiv ファンボックスは AI 生成イラスト OK になったのか」「FANBOX では AI 生成作品は今でも禁止されていると思うが、なぜ BAN されないアカウントがあるのか」「myfans や fantia で生成 AI を使うのは規約違反か」。回答の多くは 2023 年ごろの状況を前提にしていて、その後の変更が反映されていないものもありました。
そこで、国内の主なファン支援サイト 3 つ、pixivFANBOX・Fantia・Ci-en の公式ヘルプとガイドラインを開いて、AI に関する記載を探しました。確認は2026年10月19日時点です。
※ 本記事は公開されている記載を整理したものです。個別の作品が投稿できるかどうかを判定するものではありません。また、筆者はこれらのサービスで作品を販売したことはなく、以下はすべて公開資料を読んだ結果です。
3 つのサービスを並べると
先に全体を示します。3 つとも、AI が主体の作品を有料・無料のファン向けコンテンツとして出すことは認めていませんでした。違いが出るのは、例外として書かれている範囲です。
| サービス | AI が主体の作品 | 例外として書かれていること | 根拠 |
|---|---|---|---|
| pixivFANBOX | 投稿の公開も、見られる別サイトへの誘導も禁止 | 自分の絵への自動彩色、自動翻訳、AI を解説するコンテンツ | 公式ヘルプ(2023年7月25日更新) |
| Fantia | 限定コンテンツと販売コンテンツでの利用を禁止(有料・無料を問わない) | 投稿タイトル・アイキャッチ・本文、商品名・サムネイル・説明 | 公式の投稿ガイドライン |
| Ci-en | 投稿と、見られる別サイトへの誘導を禁止 | AI を主体としない一部利用は対象外(報道による) | 2023年5月11日の告知(報道で確認) |
以下、サービスごとに書かれていたことを見ていきます。
pixivFANBOX:定義がいちばん細かく書かれていた
FANBOX のヘルプセンターには、「『AI生成コンテンツ』とは何ですか?」というページがありました。最終更新は2023年7月25日です。
このページによると、AI 生成コンテンツはpixivFANBOX 個別規約第7条第2項第10号で、投稿の公開と、別サイトへの誘導の両方が禁止されています。定義は次のように書かれていました。
制作過程のすべて、またはその主要な部分に AI(これに類する技術を含む)を使って生成したコンテンツ、またはそれに軽微な加工・修正をしたコンテンツ。ただし、この要件は運営の判断で変わることがある、とも添えられています。
反対に、AI 生成コンテンツに当たらないものとして 3 つの例が挙がっていました。
| AI 生成コンテンツに当たらない例 |
|---|
| 自分で制作した画像に、ペイントソフトなどの自動彩色機能で色を付けたもの |
| 自分で制作した画像に含まれる文章を、AI 関連技術で自動翻訳したもの |
| AI によって生成された作品や、その技術を解説するコンテンツ |
審査の対象になる範囲も書かれていました。公開している投稿だけでなく、自己紹介・アイコン・プラン・カバー画像、それにおたより・メッセージ・コメントといったテキストまで含まれます。作品本体ではないから大丈夫、という読み方はできない書き方です。
違反が見つかった場合は、コンテンツの一時非公開、削除または恒久的な非公開、クリエイターアカウントの停止・抹消を、運営の裁量で行うことがあるとされていました。
Fantia:2026年1月に「一部だけ」緩んでいた
Fantia は、2023年5月に AI が主体の作品を全面禁止とし、AI カテゴリも閉じていました。運営の告知ページにそう書かれています。
その後、2026年1月22日から一部でAI の利用を認める形に変わったことが報じられています。今回、現在の投稿ガイドラインを開いてみると、「AI を利用したコンテンツに関して」という項目に次のように書かれていました。
原則として、有料・無料を問わず、すべての限定コンテンツや商品販売コンテンツで AI 生成データの利用を禁止する。現在許可されている箇所は、以下のみ。
| 場所 | AI 生成データを使ってよいとされている箇所 |
|---|---|
| 投稿 | 投稿タイトル・アイキャッチ画像・投稿本文 |
| 商品 | 商品名・サムネイル画像・商品説明 |
ここは読み違えやすいところだと思います。「Fantia が AI を解禁した」と聞くと作品にも使えそうに感じますが、使ってよいのは作品を紹介する側の 6 か所だけです。ファンがお金を払って見る中身については、禁止のまま変わっていませんでした。
緩和を伝えた報道によると、使ってよい箇所でも、ディープフェイクや肖像権・著作権を侵害しうる使い方は認めないとされていました。本人の許諾を得ずに他のクリエイターの著作物や特定の作風を学習・入力し、意図的に似せたものを生成・公開する行為も禁止に挙がっています。現在のガイドラインの共通禁止事項にも、実在人物の動画や音声を AI 技術などで不正に合成した作品が並んでいました。
Ci-en:別サイトへの誘導まで禁止されていた
Ci-en は、同人作品の販売サイト DLsite と同じエイシスが運営しています。2023年5月11日に、AI 生成コンテンツの投稿制限を告知しました。
告知の内容は複数のメディアが報じていて、投稿記事だけでなく、クリエイターのヘッダー画像やプロフィール欄など、クリエイターが編集できる箇所に AI 生成コンテンツを載せられなくなる、とされていました。Ci-en 内に載せていなくても、AI 生成コンテンツが見られる別サイトへ誘導する内容も投稿できず、該当するクリエイターはアカウントを停止する、という扱いです。
基準は「作品の主体が画像生成 AI 技術に依存しているか」で、AI を主体としない一部利用は対象外だと報じられています。
ただし、今回は Ci-en の告知ページそのものを開いて確認することができませんでした。上の内容は報道を通じて確認したものです。2025年の報道では、同じ運営の DLsite が AI 生成作品を専用のフロアに集めて販売を再開した一方で、Ci-en の投稿制限には変更が確認できないと書かれていました。
「なぜ BAN されないのか」への答えは書かれていなかった
質問サイトには、「禁止のはずなのに、AI 作品を載せているアカウントが残っているのはなぜか」という質問もありました。
FANBOX のヘルプは、禁止行為を「検知次第、当社の裁量により」措置を行う場合がある、という書き方でした。どのように検知するのか、通報からどれくらいで対応するのかは書かれていません。Fantia のガイドラインには、投稿された作品は運営事務局がすべて目視で確認している、という記載がありました。
つまり、AI 作品を載せているアカウントが残っていることは、それが認められている根拠にはなりません。規定には禁止と書かれていて、見つかったときの措置も書かれている。残っている理由は、公開資料からは分かりませんでした。
「主要な部分」「主体」の線はどこにあるのか
3 つの規定を読んで共通していたのは、AI を少しでも使ったら禁止、という書き方ではないことでした。
| サービス | 線の引き方 |
|---|---|
| pixivFANBOX | 制作過程のすべて、または「主要な部分」に AI を使ったか |
| Fantia | 中身には使わない。使ってよい 6 か所を列挙 |
| Ci-en | 作品の「主体」が画像生成 AI に依存しているか(報道による) |
FANBOX は「主要な部分」、Ci-en は「主体」という言葉を使っています。どこからが主要で、どこまでが一部なのかを数字や具体例で示した記載は、FANBOX の 3 つの例以外には見つかりませんでした。たとえば、AI で下書きを作って自分で描き直した場合がどちらに入るのかは、規定からは判断できません。
Fantia はこの点が逆で、「主体かどうか」ではなく場所で区切っています。中身に AI 生成データを使えば、量に関係なく対象になる書き方です。
支援サイト以外で売る場合
ファン支援サイトでは道が狭いことが分かりました。ほかの売り場ではどうか、という疑問も出てくると思います。グッズとして売る場合の SUZURI と BOOTH のルールは、別の記事で読んでいます。
また、どの売り場を選ぶにしても、AI で作った画像を商用で使ってよいかは生成ツールの規約で決まります。ツールごとの規約はこちらで整理しました。
調べても分からなかったこと
| 疑問 | 今回読んだ範囲での状態 |
|---|---|
| AI で下書きを作り、自分で描き直した作品は「主要な部分」「主体」に入るのか | 具体的な線は書かれていない |
| Ci-en の告知の現在の文面 | 公式ページを直接確認できず、報道で確認 |
| AI 作品を載せたアカウントが残っている理由 | 検知・対応の方法は書かれていない |
| FANBOX の定義が 2023年7月以降に変わる予定 | 「変更される場合がある」とだけ書かれている |
Fantia は2026年に一部を緩めたように、3 つの規定はいずれも変わりうるものです。有料プランを始める前には、各サービスのヘルプとガイドラインの最新版をあらためて確認してください。
まとめ
読んで分かったのは、pixivFANBOX・Fantia・Ci-en の 3 つとも、AI が主体の作品をファン向けのコンテンツとして出すことを認めていなかったこと。FANBOX と Ci-en は見られる別サイトへの誘導まで禁止していたこと。そして Fantia の2026年の緩和は、タイトルやサムネイルなど紹介する側の 6 か所に限られていたことでした。
分からないまま残ったのは、AI を部分的に使った作品がどこから「主要」「主体」になるのかという線です。FANBOX が示した 3 つの例以外には、判断の目安になる記載は見つかりませんでした。
質問サイトにあった「載せている人がいるから大丈夫なのでは」という見方については、規定の側には禁止と措置が書かれている、というところまでは公式の資料から確かめられました。
※ 本記事の内容は2026年10月19日時点で確認した公開情報です。Ci-en については告知を報じた記事を通じて確認しています。




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