AI で作ったイラストや動画を X に投稿して、そこから収益につなげたい。そう考える人は少なくないようで、質問サイトにも同じ種類の相談が何年も続けて出てきます。
「X などで AI イラストで収益化している人がいるが、どういうつもりなのか」「X の収益化は今は簡単ではないのか。AI 動画をアップしている」「X で AI イラストを上げている人が有償依頼を受けているが、権利などは大丈夫なのか」。回答は経験談や推測が中心で、X の公式ページを示しているものはあまり見当たりませんでした。
しかも X の収益化の仕組みは、2026年の夏に入れ替わっていました。以前の回答が前提にしている「クリエイター収益配分」は、もう新しく申し込めません。そこで、X のヘルプセンターと利用条件のページを開いて、新しい仕組みの条件と、AI に触れている記載を探しました。確認は2026年10月17日時点です。
※ 本記事は公開されている記載を整理したものです。個別のアカウントや投稿が報酬の対象になるかどうかを判定するものではありません。また、筆者はこのプログラムに参加しておらず、以下はすべて公開資料を読んだ結果です。
まず、どこに書かれているのか
新しい仕組みの名前は「Original Content Rewards Program」でした。今回読んだのは次の三つです。
| 文書 | 書かれている内容 | 日本語版 |
|---|---|---|
| ヘルプセンター「Original Content Rewards」 | 旧制度の終了日、参加条件、報酬の数え方、オリジナルの定義、対象外の投稿、支払い | 日本語のアドレスを開いても英語版に切り替わった |
| Original Content Rewards Program Terms | プログラムの利用条件(2026年8月7日発効) | あり。食い違いがあれば英語版が優先と書かれている |
| Xにおけるクリエイターの収益化に関する規定 | 収益化に共通する参加資格、行動とコンテンツの規定 | あり |
中心になるヘルプセンターのページは、確認した時点では英語でしか読めませんでした。以下の内容は英語版を筆者が訳したもので、公式の日本語訳ではありません。
収益配分は終わり、別のプログラムに変わっていた
ヘルプセンターによると、旧来の「Revenue Sharing(クリエイター収益配分)」は2026年8月7日で新規の受け付けを終えていました。参加していた人は9月7日までの分を受け取り、最後の支払いは9月11日ごろと案内されています。
9月8日からは、旧制度の参加者が新しいプログラムに申し込めるよう順に開放する、と書かれていました。自動で引き継がれるのではなく、新しい条件を満たしたうえで申し込み直す形です。本人確認と支払い方法の登録を済ませている人は、その二つはやり直さなくてよいとありました。
旧制度に参加していなかった人がいつから申し込めるのかは、ページの文面からははっきり読み取れませんでした。ページには Creator Studio から申し込むためのボタンが置かれています。
質問サイトで見かける「500 万インプレッション」といった数字は、旧制度のころの回答に出てくるものでした。古い回答の数字は、いまの条件とは別物として読む必要がありそうです。
参加条件は 8 項目でした
ヘルプセンターには、申し込む時点ですべて満たしている必要がある条件が並んでいました。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 居住地 | プログラムを提供している国にいる(一覧に日本が含まれている) |
| 年齢 | 18 歳以上 |
| アカウントの状態 | 収益化の規定や利用規約への違反を繰り返していない |
| アカウントの種類 | 個人またはビジネス(政治・政府機関は対象外) |
| 有料プラン | X Premium、Premium+、Premium Business のいずれかに加入している |
| インプレッション | 直近 90 日で、認証済みユーザーからのホームタイムライン上の表示が 50 万回以上(返信は除く) |
| フォロワー | 認証済みのフォロワーが 500 人以上 |
| 投稿内容 | このポリシーでいうオリジナルのコンテンツを継続して投稿している |
この一覧には、「AI で作った投稿は対象外」という条件はありませんでした。関係してくるのは最後の「オリジナルのコンテンツ」です。
もう一つ目に付いたのは、条件を満たしても参加が保証されるわけではないという一文でした。条件を満たしたら申し込み、X が審査して結果を知らせる、という流れです。
また、日本語版がある「クリエイターの収益化に関する規定」には、収益化に共通する参加資格として、3 か月以上使っているアカウントであること、プロフィール情報がすべて表示されていること、メールアドレスの認証、2 要素認証なども並んでいました。新しいプログラムのページは、この規定に従うことも求めています。
報酬が数えられるのは「有料ユーザーに見られた分」
報酬は、オリジナルのコンテンツが得た「qualified impressions(対象となる表示)」をもとに決まる、と説明されていました。その中身は、Premium(Basic を含む)や Premium+、Premium Business に加入しているユーザーのホームタイムラインで、投稿の 50% 以上が画面に映った、重複しない表示です。
同じアカウントからの 2 回目以降の表示、広告で増やした表示や人為的に作った表示、不正な表示は除かれます。つまり、無料で使っている人に何度見られても、それだけでは数に入らないことになります。
支払いは 2 週間ごとで、最低支払額は 30 ドルと書かれていました。米国以外の利用者は、Stripe の受け取り口座をつなぎ、Stripe で本人確認を済ませる必要があります。1 表示あたりいくら、という単価は示されていませんでした。
「オリジナル」の定義と、外れる 4 つ
オリジナルのコンテンツは、自分で書いた、撮影した、デザインした、制作したもので、自分の声や視点、専門性を反映したものと定義されていました。ニュースや出来事に自分の見方を加える論評も、オリジナルとして認めると明記されています。
反対に、オリジナルとみなされないものとして 4 つが挙がっていました。右の列は公式の記載ではなく、左の例を AI の投稿に当てはめるとこうなる、という整理です。
| オリジナルではないもの | AI の投稿で起こりやすい形 |
|---|---|
| 他人のコンテンツを、自分の寄与なしにそのまま写したもの(X や他サービスから保存して上げ直したものを含む) | 他人が作った AI 画像や AI 動画を保存して投稿する |
| 一語二語を変える、フィルターをかける、速度を変える、文字を重ねるなど、わずかに変えただけのもの | 話題の AI 動画に字幕を乗せただけで投稿する |
| 他人のコンテンツを集めて組み合わせただけで、新しい視点を加えていないもの | 「今週バズった AI 画像まとめ」 |
| 他のサービスの投稿を、作者以外が転載したもの | TikTok や YouTube の AI 動画を転載する |
4 つとも、問われているのは「誰が作ったか」と「自分が何を加えたか」でした。どの道具で作ったか、という書き方はされていません。
報酬の対象から外れる投稿
参加したあとも、投稿ごとに対象外になる条件が別に並んでいました。
| 対象外になる投稿 |
|---|
| 他のクリエイターから写した、または実質的に再現したもの |
| X や他のサービスから保存して上げ直したもの(自分が作者の場合を除く) |
| 不適切なもの、性的に露骨なもの、見る人に害を与えうるもの |
| 収益化の指南や、報酬を最大にする話だけを扱うもの |
| 自動化された手段で作成または投稿されたもの |
| 偽情報や誤解を招く内容を含むもの |
| 「役に立った」と評価されたコミュニティノートが付いたもの |
| コミュニティガイドライン、利用規約、著作権ポリシーに違反するもの |
AI で投稿を作る人にとって引っかかるのは、5 つ目の「自動化された手段で作成または投稿されたもの」だと思います。AI で画像を生成することが、ここでいう「自動化された手段で作成」に入るのかどうか。その定義は、今回読んだページのどこにも書かれていませんでした。
同じページの「参加を続けるための条件」では、自動化ツールやボットで、いいね・フォロー・表示・コメント・共有を人為的に作ることを禁じています。利用条件のほうでも「自動化された手段」という言葉は、表示回数を水増しする行為の説明の中に出てきました。どちらの文脈でも、指しているのは数字の操作や投稿の自動化で、生成 AI という言葉は使われていません。ただ、それで生成 AI が含まれないと言い切れるだけの記載もありませんでした。
4 つ目の「収益化の指南」も、AI 副業の発信をしている人には関係がありそうです。「AI でこうやって稼ぐ」という投稿が、もし報酬の話だけを扱っているなら、この項目に当たる可能性があります。
AI という言葉が出てくるのは 1 か所だけだった
ヘルプセンターのページを通して読むと、AI という言葉が出てくるのは、プログラムからの停止を説明した節の 1 か所だけでした。
そこには、2026年3月3日から、武力紛争を扱った AI 生成の動画を、AI で作ったことを開示せずに投稿した場合、プログラムから 90 日間停止すると書かれていました。2 回目以降は、以後の支払いを恒久的に止めるとされています。状況に応じて方針を変えることがある、という但し書きも付いていました。
読み取れるのは、AI で作ったこと自体ではなく、AI で作ったことを隠すことが問題にされているという点です。対象も、武力紛争の動画に限られていました。それ以外の AI 画像や AI 動画に開示が求められるのかどうかは、このページには書かれていません。
日本語版がある「クリエイターの収益化に関する規定」も読みましたが、AI という言葉は見当たりませんでした。なお、この規定では戦争や武力紛争に関連するコンテンツそのものが、収益化できない「センシティブな出来事」に入っています。
投稿画面に「AI で生成」のラベルを付ける機能が加わったことは、2026年3月ごろに複数のメディアが報じていました。ただ、この機能について説明した X の公式ヘルプのページは、今回見つけられませんでした。ラベルを付けた投稿が報酬に影響するのかどうかも、確認できた範囲では書かれていません。
オリジナルでも、著作権の話は別
質問サイトには、「自分で描いた二次創作のイラストで収益化できるのか」という相談もありました。ヘルプセンターはこの点をはっきり分けていて、このプログラムでオリジナルと認められることと、知的財産のルールに違反しないことは別だと書かれていました。
オリジナルの条件を満たしていても、他人の権利を侵害する投稿は X では認められない、とも念を押しています。収益化の規定でも、「所有権のないコンテンツや無認可のコンテンツ」は収益化してはならないとされていました。
AI で作った画像そのものを商用で使ってよいかは、X ではなく生成ツールの規約で決まります。ツールごとの規約は別の記事で読んでいます。
TikTok・YouTube と比べると
同じ疑問は、TikTok と YouTube でもよく出ます。どちらも以前に公式の記載を読んでいるので、今回の X と並べておきます。
| X | TikTok | YouTube | |
|---|---|---|---|
| 仕組み | Original Content Rewards | Creator Rewards Program | YouTube パートナープログラム |
| 入口の数字 | 認証済みフォロワー 500 人・90 日で認証済みユーザーからの表示 50 万回 | フォロワー 1 万人・30 日で 10 万回再生 | 広告収益の分配は登録者 1,000 人からの段階 |
| 有料プランへの加入 | 必要(Premium 以上) | 条件の一覧になし | 条件として扱っていない |
| 線の引き方 | オリジナルかどうか | オリジナルかどうか | 量産・繰り返しかどうか |
| AI の記載 | 武力紛争の AI 動画の開示(停止の節) | 収益化ではなく AI 生成ラベルのページ | 可の例と不可の例の両方に出てくる |
3 つとも、「AI で作ったら対象外」という書き方はしていませんでした。X だけ違うのは、自分が有料プランに入っていることに加えて、見る側も有料ユーザーである表示しか数えないという点です。フォロワーの数より、誰に見られているかが効いてくる設計に読めました。
認められなかったとき、外されたとき
申し込みが認められなかった場合は、異議申し立てが 1 回だけでき、それも通らなければ 42 日後に申し込み直せると書かれていました。条件を満たし続けていることが前提です。
参加後に違反が見つかった場合は通知が届き、重さに応じて一時的または恒久的にプログラムから外される、とあります。この決定にも異議を申し立てられます。また、X は参加中のアカウントを定期的に見直すと書かれていました。
あわせて、上に挙げた条件は「すべてを網羅したものではない」という一文もありました。一覧にない行為でも、プログラムの目的を損なうと X が判断すれば対応する、という書き方です。一覧に当てはまらなければ大丈夫、という読み方はできないことになります。
受け取った報酬の税金については、利用条件に、税務当局に払う税金は受け取る側の責任だと書かれていました。日本でいくらから申告が必要になるかは、国税庁のページを読んだ別の記事にまとめています。
調べても分からなかったこと
| 疑問 | 今回読んだ範囲での状態 |
|---|---|
| AI で生成することは「自動化された手段で作成」に入るのか | 定義の記載なし |
| 武力紛争以外の AI 投稿に開示が要るのか | 記載なし |
| 「AI で生成」ラベルの公式の説明と、報酬への影響 | 公式ヘルプのページを見つけられなかった |
| 旧制度に参加していなかった人が申し込める時期 | 文面からは読み取れなかった |
| どこからがオリジナルと認められるのか | 定義と例はあるが、細かな線は書かれていない |
利用条件には、X はいつでもプログラムを変更・終了できると書かれていました。実際に、2026年の 1 年の間に、支払いの数え方の変更、AI 動画の開示、制度そのものの入れ替えが続いています。申し込む前には、Creator Studio の表示とヘルプセンターのページをあらためて確認してください。
まとめ
読んで分かったのは、X の新しい Original Content Rewards Program の参加条件に「AI で作った投稿は対象外」という項目は見当たらなかったこと。報酬が出るかどうかはオリジナルかどうかで分かれ、その判断は誰が作り、何を加えたかで書かれていたこと。そして AI という言葉は、武力紛争の AI 動画を開示せずに投稿した場合の停止として、1 か所に出てくるだけだったことでした。
分からないまま残ったのは、対象外の条件にある「自動化された手段で作成」に、生成 AI が入るのかどうかです。今回読んだページには、その定義はありませんでした。
AI を使ったことで道が閉じている、とは書かれていません。他人のものを写さず、自分の手で何を加えたかが問われている、というところまでは公式のページから読み取れました。
※ 本記事の内容は2026年10月17日時点で確認した公開情報です。ヘルプセンターの英語版の訳は筆者によるもので、公式の日本語訳ではありません。





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