AI で作った画像を素材として売る、という副業があります。一度出しておけば売れ続けるので、積み上げ型の収入になります。
私も検討したことがあります。ところが調べていて、手が止まる出来事を見つけました。
結論から書きます。2026 年 5 月、国内大手のストックフォトサイトが AI 生成素材の販売を終了しました。新規受付の停止から、わずか 1 か月です。
すでに出品していた素材も、まとめて売れなくなりました。以下は公式発表と報道を読んで確認したものです(2026 年 9 月 8 日時点)。
1 か月で、積み上げたものが売れなくなりました
経緯は公表されています。
| 時期 | 何が起きたか |
|---|---|
| 2026 年 4 月 20 日 | AI 生成コンテンツの新規申請の受付を終了 |
| 2026 年 5 月 22 日 | 既存の AI 生成素材も販売を終了 |
ここが重い部分です。新規受付の停止だけなら、それまでの分は残ります。ところが 1 か月後、すでに並んでいたものまで取り下げになりました。
ストック型の副業は、数を出して積み上げることが前提です。何百点も出していた人ほど、失うものが大きくなります。
しかも規約違反をしたわけではありません。そのサイトは以前、ガイドラインを設けたうえで AI 作品の販売を認めていました。ルールを守って出していた人が、ルールのほうの変更で売り場を失った形です。
確認先 — 運営会社のプレスリリース(2026 年 5 月)および各社報道
理由は「AI が良くないから」ではありませんでした
ここは読んでみて印象が変わった部分です。
発表資料には、AI による創作活動を否定する意図は一切ないという趣旨が明記されていました。そのうえで、判断の理由が三つ挙げられています。
- 検索結果がノイズ化した — AI ツールの普及で短期間に大量の素材が投稿され、買う側が欲しいものを見つけにくくなった
- 買う側の要望 — 分析の結果、人が自ら撮影・創作したコンテンツを求める声が強かった
- コストの上昇 — AI 生成コンテンツのコスト増に伴い、販売価格を上げる必要が出てきた
つまり「AI が問題を起こした」ではなく「買う側が求めていなかった」という説明です。
一つ目の理由が、いちばん構造的だと思います。
AI で作れば、素材は短時間で大量に用意できます。売る側から見ればそれが利点です。ところが同じことを大勢がやると、検索結果が埋まります。
買う側は必要な 1 枚を探しに来ています。候補が増えすぎると、探す手間のほうが増える。出す側の効率が、買う側の不便になるという形です。
これは誰かが規約を破ったから起きたことではありません。全員がルールどおりにやった結果として起きています。だから個人が気をつけて避けられる種類のものでもない、ということになります。
ここが効いてきます。規約違反を避けることには気をつけられます。ところが「買う側の好みが変わる」ことは、こちらの努力では防げません。
「買う側が人の手を求めている」という部分
二つ目の理由も気になりました。
発表では、購入する側の需要を分析した結果として、クリエイターが自ら撮影・創作したコンテンツへの需要が高まっていると説明されています。
企業が広告素材を買う場面では、社内の決まりとして「人が制作したものに限る」としている例があるという指摘も見かけました。裏取りはできていないので断定はしませんが、そういう需要があるなら、素材サイト側がそちらに寄せるのは筋が通ります。
ここから読めるのは、AI で作れることと、それが売れることは別ということです。作る手間が下がっても、買う側がそれを望んでいなければ商売にはなりません。
逆に言えば、AI 生成であることを明示したうえで求められる場所もあります。そこを探すほうが早い、という考え方もできます。
市場が二つに分かれています
この判断で、素材サイトの立ち位置がはっきり分かれました。
| 方針 | 状況 |
|---|---|
| AI を受け入れる側 | AI 生成素材の取り扱いを継続している |
| 人の制作に限る側 | AI 生成素材を扱わない。今回の 1 社もこちらへ移った |
どちらが正しいという話ではありません。買う側の層が違えば、方針も分かれるということだと思います。
売る側から見ると、自分が出している場所がどちら側なのかを把握しておく必要があることになります。
他の場所でも、方針は動いています
今回が特別だったわけでもなさそうです。調べてみると、この数年で各所の対応が入れ替わっていました。
- AI 関連の投稿を全面的に禁止したサイト
- AI 作品の急増を受けて新規受付を一時停止したサイト
- AI 作品を専用の区画に分けて通常作品と検索を分離したサイト
- 出品時に3 段階で自己申告させ、申告漏れをアカウント停止の対象とするサイト
方向がばらばらです。そして数年で変わっています。
これまでこのシリーズでは、スキルマーケットの出品ルールや AI 音声の利用規約を読んできました。あのときは「今どうなっているか」を確認する話でした。今回はその一段先で、「今こうでも、変わることがある」という話になります。
規約を読んで確認する作業に意味がないわけではありません。読まずに始めれば、変更を待たずに違反します。そのうえで、読んだ内容が永続しないことも見ておく、という順序だと思います。
1 か所に集中させない
では、どう備えるか。
今回の件から読めるのは「1 つの場所に集中して積み上げない」ということだと思います。
同じ素材を複数のサイトに並行して出しておけば、片方が方針を変えても全部は消えません。手間は増えますが、失うときの落差が変わります。
移行にも時間がかかります。別のサイトへ出し直すには、審査・タグ付け・再申請という工程を踏むことになります。数週間から数か月の機会損失が出たという指摘もありました。
先に置いておけば、その工程を後からまとめてやらずに済みます。
もう一つ、手元に残しておくことも効きます。
出品用に整えた画像だけでなく、生成に使った指示文や設定、元データをそろえておく。出し直すときに、作り直しから始めなくて済みます。
サイトごとに求められる形式やタグの付け方は違います。素材そのものが手元にあれば、そこだけ合わせて出し直せます。
AI で作ったものの権利まわりを腰を据えて確認したい場合は、法律の専門書も出ています。規約や発表を読むだけでは足りないと感じたときの参考書として挙げておきます。
収入の柱として考えるなら
最後に、考え方の部分です。
ストック型は置いておけば売れるのが利点です。ただしその利点は、置き場所が続くことを前提にしています。前提が外れると、積み上げた分がまとめて効かなくなります。
ですから、これ一本で生活費をまかなう形にはしないほうが安全だと思います。増えたら嬉しい、という位置に置いておく。
今回のように、ルールを守っていても場所ごとなくなることがあると分かったうえで始めるかどうか。そこは人によって判断が分かれるところだと思います。
売る前に確認しておくこと
今回のことを踏まえて、確認しておくと良さそうな点を挙げます。
| 確認すること | なぜ |
|---|---|
| そのサイトはどちら側の方針か | AI を受け入れる側か、人の制作に限る側か |
| AI 生成であることの申告が必要か | 申告漏れをアカウント停止の対象とする例がある |
| 方針変更時の既存作品の扱い | 新規停止だけか、既存分まで取り下げるか |
| 出す場所を複数持っているか | 1 か所に集中していると、方針変更でまるごと消える |
三つ目は規約に書かれていないことが多い部分です。今回のように、後から決まることもあります。
それでも、やめる話ではありません
ここまで書くと、AI 素材の販売そのものが危ないように読めるかもしれません。そうは思いません。
AI を受け入れ続けているサイトもありますし、今回の件は「その 1 社の判断」です。市場全体が閉じたわけではありません。
ただ、積み上げ型の副業には積み上げ型のリスクがあるということだと思います。時間をかけて増やしていくモデルは、増やしている途中で足場が動くと、かけた時間ごと影響を受けます。
私はこれを読んで、1 か所に絞って始めるのはやめようと考えを変えました。
まとめ
- 2026 年 4 月に新規受付停止、5 月に既存分も販売終了という例があった
- 理由は「AI が良くないから」ではなく「買う側が求めていなかったから」
- 公式にはAI による創作を否定する意図はないと明記されている
- 素材サイトはAI を受け入れる側と、人の制作に限る側に分かれつつある
- 各所の方針は数年で入れ替わっている
- 備えは1 か所に集中させないこと。移行には審査と再申請の工程がかかる
- 生成に使った指示文や元データも手元に残しておくと、出し直しが早い
※本記事は 2026 年 9 月 8 日時点で公式発表と報道を確認したものです。各サイトの方針は変更されるため、出品前に最新の記載をご確認ください。


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