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副業禁止の会社で AI 副業をしたらどうなるのか 厚生労働省のモデル就業規則とガイドラインを読んでみた(2026年10月時点)

夜の自宅でノートパソコンに向かう会社員 AI・生成AI

AI 副業を始めようとして、最初に引っかかるのが勤め先の就業規則です。「副業禁止」と書かれていたり、「許可制」になっていたりして、手が止まる人は多いと思います。

Yahoo!知恵袋には、この悩みが形を変えて繰り返し出ています。大きく分けると三つです。「副業は会社にバレるのか」「副業禁止の会社は、なぜ禁止しているのか」「バレたらクビになるのか」。

この記事では、「バレない方法」は扱いません。会社に隠す前提の話は、見つかったときに立場を悪くするだけだからです。代わりに、国が示している就業規則のひな形とガイドラインに何が書かれているかを読みました。私は労務の専門家ではありません。公開されている資料を読んだ記録です。

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読んだもの

  • 厚生労働省「モデル就業規則」の副業・兼業の条文
  • 厚生労働省「副業・兼業の促進に関するガイドライン」とその概要資料
  • 厚生労働省のスタートアップ労働条件相談の Q&A(副業・兼業の扱い)

国のひな形は「原則として認める」形

モデル就業規則は、会社が就業規則を作るときの参考として厚生労働省が公開しているひな形です。その副業・兼業の条文は、次のように始まります。

「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」

禁止から始まるのではなく、できる、から始まっています。そのうえで、労働者からの届出にもとづき、次のどれかに当たる場合に、会社が禁止または制限できるとしています。

会社が禁止・制限できる場合中身のイメージ
① 労務提供上の支障がある場合副業で疲れて本業がおろそかになる、など
② 企業秘密が漏洩する場合本業で知った情報を副業に使う、など
③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合会社の評判を落とす内容の副業、など
④ 競業により、企業の利益を害する場合本業と競合する仕事を請け負う、など

右の列は、条文の意味をつかむために私が添えた例です。条文そのものは左の列の四つです。つまり国のひな形では、副業は届出制で、会社が止められるのはこの四つの場合という作りになっています。

「なぜ禁止しているのか」への答え

では、なぜ「副業禁止」と書いている会社があるのか。厚生労働省の Q&A は、その背景をこう説明しています。

会社の就業規則には、長時間労働、本業への支障、業務上の秘密の漏洩などを防ぐために、副業を禁止したり一律に許可制にしたりしている例が見られる。一方で、副業・兼業に関する裁判例では、労働時間以外の時間をどう使うかは、基本的には労働者の自由とされている。

そのうえで Q&A は、会社に対して、副業が業務に支障をもたらすかどうかを検討し、そうした事情がなければ、原則として副業ができる環境を整えることが求められるとしています。

知恵袋の「なぜ禁止しているのか」という問いへの答えは、本業への支障や情報漏洩を心配しているからです。そして国の資料は、その心配がない副業まで一律に止めることには否定的、という立場をとっています。

「バレたらクビか」について読めたこと

ここは、読んだ資料からは「必ずこうなる」とは言えない部分でした。

資料から分かるのは、判断の軸です。裁判例が「基本的には自由」としていること、会社が止められるのは本業への支障や秘密の漏洩などの場合に限られる形になっていること。処分が問題になるかどうかは、その副業が四つの場合に当たるかどうかと深く関わる、ということまでは読み取れます。

ただし、実際の就業規則は会社ごとに違います。国のひな形はあくまで参考で、自分の会社の規則に何が書かれているかが出発点です。ガイドラインも、労働者の側に向けて「自社の副業・兼業に関するルールを確認し、そのルールに照らして適切な副業を選ぶ必要がある」と書いています。

知恵袋の回答でも、「禁止の規定があり、違反が懲戒の対象と定められていれば、まず副業をやめるよう指導される」といった説明がありました。いきなり解雇かどうかより、会社の規則と手続きがどうなっているかを見るほうが現実的です。

「バレるのか」について

知恵袋の回答で最もよく挙がる経路は、住民税です。副業の所得があると翌年の住民税が増え、会社の給与から天引きされる額の変化で気づかれる、という説明です。

この記事では、それを避ける方法には踏み込みません。副業の所得の申告がいくらから必要になるのかは、国税庁のページを読んだ別の記事にまとめています。

申告をしないことは、別の問題を生みます。「隠せるか」ではなく「届け出て通るか」を考えるほうが、結果的に安全だというのが、資料を読んだ私の受け止め方です。

AI 副業で引っかかりやすいところ

四つの制限事由を、AI 副業に当てはめてみます。ガイドラインは、副業をする労働者に職務専念義務、秘密保持義務、競業避止義務を意識するよう求めています。AI を使う副業では、このうち次の点が特に関わってきそうです。

会社の PC や、会社が契約した AI を使う

会社から支給された PC や、会社名義で契約している生成 AI のアカウントで副業の作業をすると、勤務時間外であっても、会社の資産を私的に使っている形になります。副業そのものより先に、こちらが問題になる可能性があります。

本業で知ったことを AI に入れる

本業の資料や、仕事で知った情報を生成 AI に入れて副業の成果物を作ると、②の企業秘密の漏洩に近づきます。会社の資料を AI に入れることの規約上の扱いは、別の記事で読んでいます。

本業と同じ分野の仕事を受ける

本業がシステム開発で、副業でも AI を使った開発を請け負う。本業がマーケティングで、副業でも AI で広告文を書く。こうした場合は、④の競業に当たらないかを先に確かめる必要があります。

夜通し作業して本業に響く

AI があると作業が速く進むぶん、つい長く続けてしまうことがあります。ガイドラインは、労働者自身が業務量や時間、健康状態を管理する必要があるとしています。翌日の本業に支障が出れば、①に当たり得ます。

届け出るときに見ておくこと

読んだ資料を踏まえると、届出や許可の申請をする前に、次の点を自分で確かめておくと話が進めやすくなります。

  • 自分の会社の就業規則に、副業について何が書かれているか(禁止・許可制・届出制のどれか)
  • 副業の内容が、本業と競合しないか
  • 作業に会社の PC やアカウント、情報を使わない形になっているか
  • 作業時間が、本業に響かない範囲に収まるか

厚生労働省は、届出に使える様式の例も公開しています。会社に決まった書式がない場合は、どんな項目を伝えればよいかの参考になります。

もう一つ、ガイドラインは 2022 年の改定で、会社に対し、副業を認めているかどうか、条件付きで認めている場合はその条件を公表することが望ましいとしました。勤め先の採用ページや会社案内に載っていることがあるので、就業規則と合わせて見ておくと、会社の考え方がつかみやすくなります。

調べても分からなかったこと

  • 無断で副業をした場合に、どの程度の処分になるか。会社の規則と個別の事情によって変わり、一般的な答えは資料にありませんでした
  • AI 副業に特化した国の指針。今回読んだ資料には、AI を使った副業を特別に扱う記載はありませんでした
  • 公務員の場合。法律による別の制限があり、この記事の範囲外としました

まとめ

  • 国のモデル就業規則は、副業を「勤務時間外は従事できる」から始まる届出制の形にしている
  • 会社が止められるのは、本業への支障、企業秘密の漏洩、名誉・信用の毀損、競業の四つの場合
  • 裁判例では、労働時間以外の時間の使い方は基本的に労働者の自由とされている
  • ただし出発点は自分の会社の就業規則で、処分の程度は資料からは一般化できない
  • AI 副業では、会社の PC・アカウント・情報を使わないこと、本業と競合しないことが特に関わる

「副業禁止」と書かれていても、国の資料は、理由のない一律の禁止には否定的でした。調べた範囲では、隠す方法を探すより、四つの制限事由に当たらない形を作って届け出るほうが、話が通りやすい、というところまでが言えます。

※この記事は 2026 年 10 月 2 日時点で公開されている厚生労働省のモデル就業規則、副業・兼業の促進に関するガイドライン、関連する Q&A を読んだ記録です。法律上の助言ではありません。個別の判断は、勤め先の就業規則を確認したうえで、必要に応じて社会保険労務士などの専門家に相談してください。

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